ベトナムのアイスティー、別名「Tra da」は、観光客向けの飲み物でも、ガイドブックで探すような名物でもありません。レストランや麺台、カフェの席に着くと、氷の入ったグラスで自動的に出てくるものです。無料で、出てくるのが当たり前。そして、Vietnam(베트남 / 越南 / ベトナム)のほとんどの人にとって、食事中の水分補給の定番となっています。

Tra daとは実際どんなものか

Tra daは、緑茶やジャスミン茶を淹れ、冷やして氷を入れたものです。ただそれだけです。茶葉は通常新鮮で、ティーバッグの場合もありますが、乾燥した茶葉の束を魔法瓶やピッチャーのお湯に入れてそのままにしておくのが一般的です。20,000 VNDのcom tam(砕き米ご飯)の屋台でのランチから、きちんとしたレストランでの食事、コーヒーショップまで、あらゆる価格帯の飲食店で見かけます。

味はすっきりとしており、緑茶なら少し草の香りが、ジャスミン茶なら花の香りがします。砂糖もミルクも入りません。重要なのは温度です。暖かい日や、熱くて油っこいものを食べた後には、キンキンに冷えていることが大切なのです。

地元の人々が常に飲む理由

その理由は実用的です。お茶は、特にこってりとした食事の後の消化を助けます。提供するのに安上がりで、レストラン側のコストはほとんどかかりません。高温多湿の環境でも水分補給ができます。塩辛いもの、揚げ物、脂っこい食べ物に対して、口の中をさっぱりさせてくれます。ベトナムでの食事中に水を頼む人は見かけません。皆、Tra daのおかわりを頼むのです。

日差しが最も強くなる午後には、屋台の店主や建設作業員が共有のピッチャーからグラスにおかわりを注ぐ姿が見られます。それは共同体的なものであり、「エッグコーヒー」やベトナムコーヒーの文化ほど儀式化されてはいませんが、カフェインを含まないただの水にはない形で、一日の生活のリズムに組み込まれています。

木製のテーブルの上で素朴なアイテムに囲まれた、ガラスのピッチャーに入った茶葉の俯瞰写真。

PexelsのAlina Matveychevaによる写真

出会うことのあるバリエーション

Tra da chanhは、Tra daに新鮮なライム果汁と、時には少量の砂糖を加えたものです。ハーブ感が少なく、より爽やかな味わいで、食事のお供というよりは単独の飲み物として注文されることがよくあります。「Banh Mi」のアイスティー版だと考えてください。どこにでもありますが、名前で注文するほどにはっきりと区別された存在です。

Tra atiso(アーティチョークティー)は、乾燥させたアーティチョークの葉から作られ、ほんのり甘く土のような風味がします。普通の緑茶やジャスミン茶ほど一般的ではありませんが、カフェや健康志向のお店で見かけることがあります。ベトナム人はこれを消化や肝臓の健康に良いと考えています。

Tra thanh(ハーブティー)は、菊茶から羅漢果などの体を冷やすハーブのブレンドまで、様々なものを指します。夏には、体を冷やすお茶が「暑気払い」の飲み物として販売されます。Saigon(사이공 / 西贡 / サイゴン)の古いフレンチカフェでは、ジャスミン茶の茶葉が入ったポットとお湯が別々に出てくることがあります。これはセルフサービスで淹れるスタイルで、中国の茶文化に近いものです。

コンビニエンスストアでは、ブランド化されたボトル入りのもの(Tra XanhやTan Phatのパッケージ茶)も見かけますが、これらは座って食事をしない時向けのものです。本物は、レストランが魔法瓶から作ってくれるお茶です。

注文方法とマナー

通常、Tra daは注文しません。食事についてくるからです。グラスが空になったら、店員と目を合わせてジェスチャーをするか、「Toi khong an man(塩辛いものは食べません)」と言います(これは丁寧な断り文句です)。レモン入りが欲しい場合は「Tra da chanh」と頼みます。温かいものが欲しい場合は「Tra nong(ホットティー)」と頼みます。氷なしが良い場合は「Khong da(氷なし)」と言いますが、これはあまり一般的ではありません。

カフェで、あるいは食事の付け合わせではなく飲み物として注文する場合は、甘くする(「Tra da duong」)か、甘くしない(「Tra da khong duong」)かを選ぶことができます。価格は場所にもよりますが、通常5,000〜15,000 VNDです。

そこに儀式的なものはありません。ゆっくりとすするものでもありません。食事の合間に飲み、胃を落ち着かせ、またおかわりを注ぎます。実用的であること、それがすべてなのです。

新鮮なミントが添えられた鮮やかなライムアイスティーと、居心地の良い秋のセッティングに置かれた甘いデザート。

PexelsのNgoc Binh Haによる写真

Tra daがそぐわない場面

フォーマルな着席ディナーや結婚式では、きちんとしたカップに入った温かいお茶が、食事の終盤に出されることが多いです。Tra daは日常のものです。屋台、カジュアルなランチ、汗ばむ午後などに似合います。カフェで仕事をして長居するような場合は、ベトナムコーヒー(베트남 커피 / 越南咖啡 / ベトナムコーヒー)やエッグコーヒー、スムージーなどを注文する可能性が高いでしょう。

しかし、そのような時でも、たいていTra daはすぐそばにあります。多くのカフェでは、サイドテーブルにピッチャーが置かれており、欲しい時に自由に飲めるようになっています。

実用的なアドバイス

Vietnamを旅行中に席について食事をするなら、Tra daは無料でついてくるものと思ってください。これは、外国人がしばらく滞在するまで気づかないことが多い、目に見えない心遣いの一つです。遠慮せずにおかわりを頼んだり、気分を変えたい時は「Tra da chanh」を頼んだりしてみましょう。このお茶に驚くことはありません。消化を助け、涼をとるためにそこにあるのですから。それがTra daの本来の目的なのです。

— 終 —

最終更新 · May 29, 2026 · 独自取材、スポンサーなし。